子どもの川遊びを安全に楽しむために|ライフジャケット・増水・見守りのポイント
暑い季節になると、子どもと一緒に川へ出かけるご家庭も増えてきます。
冷たい水に触れたり、小さな魚や水の中の生き物を探したりする川遊びは、子どもにとって自然を身近に感じられる貴重な体験です。
一方で、自然の川には、見た目だけでは分からない流れや深みがあります。
- 浅そうだから大丈夫
- 大人が何人もいるから安心
- 少し遊ぶだけだから、ライフジャケットはなくても大丈夫
そう思える状況でも、天候や川底の地形が変われば、危険な状態になることがあります。
川を怖い場所として遠ざけるのではなく、川の特徴を知り、必要な準備をしたうえで楽しむことが大切です。
この記事では、子どもと川へ行く前に、家族で確認しておきたい安全対策をまとめます。
子どもの水難事故は現在も発生しています
警察庁の2025年の統計では、全国の水難者は1,599人で、そのうち中学生以下は177人でした。中学生以下の死者・行方不明者は27人で、発生場所は海と河川がそれぞれ12人、行為別では水遊びが11人と最も多くなっています。
件数だけを見て過度に不安になる必要はありません。
ただ、子どもの水難事故は特別な家庭だけに起こるものではなく、身近な川遊びの中でも起こる可能性があります。
だからこそ、川へ行く前に危険を知り、装備・天候・見守り方を確認しておくことが、事故のリスクを減らすことにつながります。
川は浅く穏やかに見えても危険があります
場所によって流れと深さが大きく変わる
川は、同じ場所でも数歩進むだけで、深さや流れが変わることがあります。
水面が穏やかに見えていても、水中では複雑な流れが発生していることがあります。また、浅瀬のすぐ近くに急な深みがある場合もあります。
特に注意したいのは、次のような場所です。
- 橋脚や消波ブロックなど、人工物の周辺
- 堰や小さな滝のように、水が落ち込んでいる場所
- 大きな岩の周辺
- 川が大きく曲がっている場所
- 流れが速い場所
- 川底が見えない場所
- 急に深くなっている場所
- 立入禁止・遊泳禁止の表示がある場所
人工物や岩の周辺では、目に見えにくい複雑な流れが生じることがあります。危険を示す看板や柵がある場所には、近づかないようにしましょう。
水際にも転落する危険がある
川の中に入らなければ安全とは限りません。
濡れた岩、コケのついた石、護岸のコンクリートなどは滑りやすく、足を取られて川へ落ちることがあります。
川に入る予定がなくても、水際で生き物を探したり、石を拾ったりする場合は注意が必要です。
こども家庭庁は、川辺では水際から少し離れた場所にも転落や引き込まれのリスクがあるため、状況に応じて、水辺へ近づく段階からライフジャケットを着用することを案内しています。
子どもは静かに溺れることがあります
溺れている子どもが、必ず大声で助けを求めたり、激しく水をたたいたりするとは限りません。
こども家庭庁によると、子どもが溺れる時は、声や音を出さず、静かに沈むことがあります。
そのため、「声が聞こえたら助ければよい」のではなく、大人が子どもの様子を目で見続けることが必要です。
晴れていても急に増水することがあります
川遊びでは、現在地の天気だけでなく、上流の天気も確認する必要があります。
遊んでいる場所が晴れていても、上流で強い雨が降っていたり、ダムの放流が行われたりすると、水位が急に上がることがあります。
川へ行く前には、次の情報を確認しましょう。
- 当日の天気予報
- 上流地域の天気や雨雲
- 前日までの降雨状況
- 雷注意報や大雨に関する情報
- 河川の水位
- ダムの放流情報
- 現地施設や自治体からのお知らせ
国土交通省の「川の防災情報」では、全国の河川の水位や降雨状況を確認できます。警察庁も、上流で雨が降っている時や増水のおそれがある時は、水遊びや河原でのバーベキューを行わないよう注意を呼びかけています。
現地では、次のような変化があったら、すぐ川から離れてください。
- 雷が聞こえた
- 空が急に暗くなった
- 雨が降り始めた
- 水が濁ってきた
- 木の枝や葉などが流れてきた
- 水位や流れが変わった
- ダム放流のサイレンや警報が聞こえた
「もう少しだけ」と遊び続けず、迷った時は中止する判断が大切です。
川では子どもも大人もライフジャケットを着用する
川遊びでは、子どもの体型に合ったライフジャケットを正しく着用することが重要です。
成長を見越して大きすぎるサイズを選ぶと、水流を受けた時に頭側から抜けてしまう可能性があります。
子ども用を選ぶ時は、次の点を確認しましょう。
- 子どもの体重・胸囲に対応している
- 体に合わせて調節できる
- 股下ベルトが付いている
- ベルトやバックルに破損がない
- 着用後、肩部分を持ち上げても簡単に抜けない
- 用途に合った浮力がある
特に子どもは体が小さく、ライフジャケットが脱げやすいため、股下ベルトがあるものを、体にしっかりフィットさせて使用することが勧められています。
浮き輪はライフジャケットの代わりにはなりません。
川には下向きに引き込む流れや、浮き輪から体が外れる危険もあります。浮き輪や腕につける浮具だけに頼らず、ライフジャケットを基本にしましょう。
また、子どもを助けようとした大人が流される事故もあります。子どもだけでなく、見守る大人もライフジャケットを着用することが大切です。
川遊びに適した履物を選ぶ
裸足やビーチサンダルは避け、かかとが固定され、脱げにくく、滑りにくい水遊び用の靴を選びましょう。
川底には、石や枝、割れたガラスなどが隠れている可能性があります。また、脱げやすいサンダルが流されると、子どもが追いかけようとすることもあります。
ただし、靴を履いていても転倒や滑りを完全に防げるわけではありません。水中では足元を確認しながら、ゆっくり行動しましょう。
流された帽子、靴、おもちゃなどは、絶対に追いかけないことも親子で約束してください。
大人は「誰かが見ている」ではなく見守る人を決める
複数の家族や友人と川へ行くと、
- 誰かが見てくれているだろう
- ほかの大人もいるから大丈夫
と思ってしまうことがあります。
しかし、バーベキューの準備、荷物の片付け、きょうだいの世話、スマートフォンの確認などで、大人の注意が子どもから離れることがあります。
川に子どもが入っている間は、見守る大人を明確に決め、見守り以外の作業をさせないことが大切です。
見守る時は、
- 子どものすぐそばにいる
- 手の届く範囲を意識する
- 可能であれば子どもの下流側に立つ
- きょうだいを一人で同時に見ようとしない
- 大人同士で交代する時は、声に出して引き継ぐ
- 子どもだけで川へ行かせない
ことを確認しましょう。
こども家庭庁は、大人がいるグループでも「誰かが見ていると思った」「準備に気を取られた」といった状況で事故が起きていることを紹介しています。
川で避けたい行動と場所
次の行動は避けましょう。
- 子どもだけで川へ行く
- 川を泳いで横断する
- 岩や橋の上から飛び込む
- 堰、橋脚、消波ブロックなどの近くで遊ぶ
- 中洲に長時間とどまる
- 立入禁止・遊泳禁止区域に入る
- 流された物を追いかける
- 悪天候や増水時に川へ近づく
- 体調が悪い状態で水に入る
- 飲酒後に川へ入る
- ライフジャケットを着けずに水際へ近づく
「浅い」「流れが緩い」「川底が見える」という条件だけで、安全だと判断しないことが大切です。
自然の川には、いつでも同じ状態が続くという保証はありません。
遊ぶ場所は、できる限り安全管理が行われている場所を選び、現地の管理者・監視員・ガイドの指示に従いましょう。
川に流された時に親子で知っておきたいこと
子どもが流された場合
ライフジャケットを着用していることを前提に、速い流れの中で無理に立とうとしないよう伝えておきましょう。
足が石の間などに挟まると、水流で体が押され、顔を水面から出せなくなる危険があります。
また、流れに逆らって元の場所へ戻ろうとせず、ライフジャケットで浮きながら、下流にある流れの緩やかな場所へ移動することが基本です。
子どもには、難しい説明を一度に覚えさせるのではなく、
- 流されたら、立とうとしない
- ライフジャケットで浮く
- 上流へ戻ろうとしない
と、短く確認しておきましょう。
流されている人を見つけた場合
子どもや家族が流されても、慌てて泳いで助けに入らないでください。
助けに入った人まで流され、被害が広がることがあります。
まずは、
- 周囲の人に助けを求める
- できるだけ早く119番へ通報する
- 流された人から目を離さず、位置を伝える
- 岸から浮く物や長い物を差し出す・投げる
- 自分自身は水に入らない
という行動をとります。
浮き輪、クーラーボックス、空のペットボトル、長い棒、ロープなどが役立つ場合があります。川遊びへ行く時は、救助用のスローロープを準備し、使用方法を事前に学んでおくことも安全対策の一つです。
川へ行く前のチェックリスト
出発前に、次の項目を確認してみてください。
- 子どもだけで川へ行かせない
- 現地と上流の天気を確認した
- 河川の水位とダム放流情報を確認した
- 立入禁止・遊泳禁止情報を確認した
- 子どもと大人のライフジャケットがある
- サイズとベルトを確認した
- 脱げにくく滑りにくい靴を準備した
- 防水した携帯電話を持った
- 緊急時に119番へ連絡できる
- 見守り役を決めた
- 流された物を追いかけないと約束した
- 天候が変わったら中止すると決めた
すべてを完璧に準備しなければ外出できない、ということではありません。
ただ、出発前に一度確認するだけでも、見落としを減らし、安全な行動を思い出すきっかけになります。
親子で確認したい川遊びの約束
子どもには、短く分かりやすい言葉で伝えましょう。
- 川には、子どもだけで行かない
- 川に近づく前に、ライフジャケットを着る
- 大人のそばから離れない
- 靴や帽子、おもちゃが流されても、追いかけない
- 雨や雷、水の変化に気づいたら、すぐ川から離れる
- 流されたら、無理に立とうとせず、浮く
- 友だちが流されても、自分で飛び込まず、大人を呼ぶ
一度伝えて終わりにせず、川へ行く前や夏休みの前に、何度もやさしく確認することが大切です。
ホッピースマイルの「川の危険を学ぶ歌」
ホッピースマイルの動画
「川の危険を学ぶ歌」では、川の危険や安全の約束を、歌とアニメで親子一緒に学べます。
文章だけでは覚えにくい安全ルールも、歌で繰り返し触れることで、川へ行った時に思い出すきっかけになります。
川は、正しい知識を持って楽しみたい大切な自然です
川には危険があります。
しかし、川は危険だから近づいてはいけない場所、とだけ伝える必要はありません。
水の流れ、生き物、石や植物、季節による変化など、川には子どもが自然を学べる多くの体験があります。
大切なのは、
- ライフジャケットを正しく着用すること
- 子どもだけで行かないこと
- 大人が手の届く範囲で見守ること
- 現地と上流の天候を確認すること
- 迷った時は中止すること
です。
装備・準備・知識をそろえることが、川遊びのリスクを減らし、家族で楽しい時間を過ごすことにつながります。
次に川へ出かける前に、ぜひ親子で安全の約束を確認してみてください。
子どもの水辺の安全を、社会全体で支えるために
ホッピースマイルでは、子どもの事故予防につながる安全教育を、動画・歌・ポスター・メルマガを通じて親子に届けています。
企業・団体・自治体・教育機関の皆さまとも連携しながら、子どもの安全を家庭だけに任せず、社会全体で支える取り組みを広げていきたいと考えています。
川の安全は、自治体、教育機関、保育施設、キャンプ場、レジャー施設、アウトドア関連企業、地域の子育て支援団体などとも関わりの深いテーマです。
施設内で掲示する安全啓発ポスター、親子イベントで使用する配布物、子ども向けの動画や歌などを通じて、川へ出かける前に安全を思い出せる環境づくりにつなげられればと考えています。
参考情報
- 警察庁「令和7年における水難の概況等」
- こども家庭庁「水の危険は近くにあります、みんなで危険回避!」
- こども家庭庁CDR「ひとごとではない川での水難事故 どうすれば防げるの?」
- 国土交通省「河川水難事故防止ポータルサイト」
- 国土交通省「川の防災情報」
- 東京消防庁「河川での事故に注意!」











