暑い日でも、子どもは元気いっぱいに遊びます。

公園で走り回ったり、友だちと夢中になって遊んだりしている姿を見ると、「まだ元気そうだから大丈夫」と感じることもあるかもしれません。

しかし、子どもは自分の体の変化に気づかなかったり、うまく言葉で伝えられなかったりすることがあります。

  • 「のどは渇いていない」
  • 「まだ遊べる」
  • 「休みたくない」

そう話していても、体には少しずつ熱がこもり、水分が失われていることがあります。

熱中症は、真夏の屋外だけで起きるものではありません。急に暑くなった日、湿度の高い日、風通しの悪い室内、車内、体育館などでも起こる可能性があります。

大切なのは、子どもの自己申告だけを待つのではなく、周囲の大人が暑さと体調を確認し、早めに休ませることです。

この記事では、子どもの熱中症を防ぐために家庭でできることと、熱中症が疑われる時の対応をわかりやすくまとめます。

熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境などによって体温調節がうまく働かなくなり、体の中に熱がこもることで、さまざまな症状が起きる状態です。

屋外だけでなく、室内で静かに過ごしている時でも発症することがあり、重症になると命に関わる場合もあります。

熱中症は、重症になる前の小さな変化に気づき、暑さを避けて体を冷やすことで、重症化のリスクを減らせます。

子どもが大人より熱中症になりやすい理由

体温調節機能が十分に発達していない

子どもは、大人と比べて体温を調節する機能がまだ十分に発達していません。

気温や湿度が高い環境では、体内にたまった熱をうまく外へ逃がせず、体温が上がりやすくなります。

地面からの熱を受けやすい

子どもは大人より背が低く、ベビーカーに乗っている乳幼児も地面に近い位置で過ごします。

そのため、気温だけでなく、アスファルトや砂、遊具周辺からの照り返しの影響を強く受けることがあります。

大人の顔の高さでは耐えられる暑さに感じても、子どもの顔の高さでは、より厳しい暑熱環境になっている可能性があります。

遊びに夢中になると体の変化を伝えにくい

子どもは遊びに夢中になると、のどの渇き、疲れ、頭痛、気分の悪さなどを後回しにしてしまうことがあります。

小さな子どもは、自分の体調を具体的な言葉で説明することも簡単ではありません。

「飲みたいと言ったら飲ませる」ではなく、のどが渇く前から、大人が水分補給と休憩の時間を作ることが大切です。

子どもの熱中症で注意したい症状

熱中症の症状は、突然重くなるとは限りません。

初めは、少し元気がない、休みたがる、いつもより反応が鈍いなど、分かりにくい変化から始まることもあります。

次のような症状がないか確認しましょう。

  • めまい、立ちくらみ
  • 大量の汗
  • 筋肉痛、足などのけいれん
  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 強いだるさ
  • ぼんやりしている
  • まっすぐ歩けない
  • 体が熱い
  • 呼びかけへの反応がおかしい
  • けいれん

汗をかいているかどうかだけで判断することはできません。

いつもと違う様子が見られたら、無理に遊びや運動を続けず、涼しい場所へ移動させましょう。

暑い日は気温だけでなく「暑さ指数」を確認する

熱中症の危険度を判断する時は、最高気温だけでなく、暑さ指数(WBGT)も参考になります。

暑さ指数は、気温だけでなく、湿度、日差しや地面からの熱、風などを考慮した指標です。

環境省が紹介している熱中症予防運動指針では、次のように示されています。

  • WBGT25以上28未満:積極的に休憩する
  • WBGT28以上31未満:激しい運動は中止する
  • WBGT31以上:運動は原則中止。特に子どもは中止すべき

朝や夕方であっても、湿度が高い日や風が弱い日は暑さ指数が高くなることがあります。

「午前中だから大丈夫」「日が傾いたから安全」と時間だけで判断せず、出発前にその地域の暑さ指数を確認しましょう。

熱中症警戒アラートが出た日の過ごし方

熱中症警戒アラートが発表された地域では、外出や運動の予定を見直し、できる限り涼しい環境で過ごすことが大切です。

子どもは暑さの影響を受けやすいため、

  • 公園遊びを室内遊びに変更する
  • 屋外イベントへの参加を見直す
  • 運動を中止または短縮する
  • エアコンの効いた場所で過ごす
  • こまめに水分補給と休憩を行う

といった対応を取りましょう。

熱中症特別警戒アラートが発表された際には、自治体が指定するクーリングシェルターが開放される場合があります。自宅で涼しい環境を確保しにくい時に備え、地域の図書館、公民館、商業施設などの場所を確認しておくと安心です。

家庭でできる子どもの熱中症予防

1.のどが渇く前に水分をとる

子どもの「のどが渇いた」という言葉だけを待たず、大人が飲む時間を作りましょう。

たとえば、

  • 出かける前
  • 遊び始める前
  • 遊びの途中
  • 休憩する時
  • 帰宅する前
  • 入浴の前後

など、行動の区切りと水分補給をセットにすると習慣にしやすくなります。

「飲みたい?」ではなく、

「ひと口飲んでから遊ぼうね」

と声をかけると、子どもにも伝わりやすくなります。

2.飲み物を目的に合わせて選ぶ

普段の生活や短時間の外出では、水や麦茶などでこまめに水分をとることが基本です。

長時間の運動や大量に汗をかいた時は、水分だけでなく塩分も失われるため、食事や飲料を通じた補給も考えます。

スポーツドリンクには糖分が含まれているものが多いため、日常的に大量に飲ませるのではなく、運動量や発汗量に合わせて使い分けましょう。

経口補水液は、普段の水分補給のための飲み物ではありません。

経口補水液は、軽度から中等度の脱水状態における水分・電解質の補給を目的とした病者用食品です。健康な時に日常的に飲んだり、一度に大量に飲んだりすることは避け、商品の表示や医療従事者の指示に従いましょう。

3.涼しい場所でこまめに休憩する

水分を飲んでいても、暑い環境に居続ければ体温は上がります。

熱中症予防では、水分補給と同じくらい、暑さを避けることが重要です。

  • 日陰や冷房の効いた室内で休む
  • 外遊びの時間を短くする
  • 暑さ指数が高い日は予定を変更する
  • 移動経路の休憩場所を確認する
  • 無理に予定を続けない

ことを意識しましょう。

  • せっかく来たから
  • あと少しだけだから

と思うこともあるかもしれませんが、暑すぎる日は予定を変えることも、子どもの安全を守る大切な判断です。

4.服装と日差し対策を見直す

暑い日は、通気性がよく、体を締めつけすぎない服を選びましょう。

屋外では帽子を使い、できるだけ日陰を選びます。ただし、帽子をかぶっているだけで熱中症を防げるわけではありません。

帽子、水分、休憩、活動時間、暑さ指数を組み合わせて考えることが大切です。

5.子どもの言葉だけでなく様子を見る

子どもが「大丈夫」と言っていても、次のような変化がないか見守りましょう。

  • いつもより動きが少ない
  • 呼びかけへの反応が鈍い
  • 顔が赤く、体が熱い
  • 座り込む
  • 食欲や元気がない
  • 頭やお腹が痛いと言う
  • 水分を飲みたがらない

暑い日は、大人が定期的に休憩を決め、顔色や受け答えを確認しましょう。

6.急に暑くなった日は活動量を減らす

梅雨の晴れ間、梅雨明け直後、涼しい日が続いた後など、体が暑さに慣れていない時期は特に注意が必要です。

日頃から無理のない範囲で体を動かすことは暑さへの適応につながりますが、暑熱順化を理由に、暑い日に無理をさせてはいけません。

気温が急に上がった日は、活動時間を短くし、休憩を増やしましょう。

7.室内でもエアコンを適切に使う

熱中症は、屋外だけでなく室内でも起こります。

風通しだけでは室温が下がらない日もあるため、温度や湿度を確認しながら、エアコンや扇風機を適切に使用しましょう。

エアコンの設定温度だけを見るのではなく、子どもが実際に過ごしている場所の室温と様子を確認することが大切です。

8.短時間でも車内に子どもだけを残さない

夏の車内は、短時間でも高温になる可能性があります。

  • 眠っているから
  • すぐ戻るから
  • エアコンをつけているから

という場合でも、子どもだけを車内に残してはいけません。

エンジン停止、エアコンの不具合、誤操作による施錠、降ろし忘れなども起こり得ます。買い物などの短い用事でも、必ず子どもと一緒に車を降りましょう。

熱中症が疑われる時の応急処置

子どもに熱中症が疑われる症状が見られたら、次の順番で対応します。

1.涼しい場所へ移動する

エアコンの効いた室内や、風通しのよい日陰へ移動させます。

2.衣服をゆるめて体を冷やす

衣服をゆるめ、うちわや扇風機で風を当てます。

保冷剤や氷のうがある場合は、タオルなどで包み、

  • 首の周り
  • 脇の下
  • 足の付け根

などを冷やします。

3.自分で飲める場合は水分と電解質を補給する

意識がはっきりしており、自分で安全に飲める場合は、少量ずつ水分を与えます。

大量に汗をかいている場合や脱水が疑われる場合は、経口補水液などを使用することもあります。

ただし、吐き気が強い場合や、自分で飲めない場合には、無理に口から飲ませないでください。

4.改善しない時は医療機関へ

涼しい場所で休み、体を冷やし、水分をとっても症状が改善しない場合は、医療機関に相談・受診しましょう。

応急処置をして一度元気になったように見えても、その後に再び具合が悪くなることがあります。無理に遊びや運動へ戻さず、十分に休ませてください。

すぐに119番を呼ぶ目安

次のような場合は、すぐに119番へ通報してください。

  • 呼びかけへの反応がおかしい
  • 意識がない
  • けいれんしている
  • まっすぐ歩けない
  • 自分で水分を飲めない
  • 何度も吐いている
  • 体が非常に熱い
  • 応急処置をしても症状が改善しない

呼びかけへの反応が悪い時は、誤嚥する危険があるため、無理に水分を飲ませてはいけません。

救急車を待つ間も、涼しい場所へ移し、衣服をゆるめて体を冷やし続けましょう。

親子で確認したい熱中症予防の約束

子どもには、短く覚えやすい言葉で伝えましょう。

  • のどが渇く前に、ひと口飲む
  • 暑い日は、途中で休む
  • 頭が痛い、気持ち悪い、ふらふらする時は、すぐ大人に言う
  • 「まだ遊びたい」と思っても、大人が休もうと言ったら休む
  • 車の中には、ひとりで残らない
  • 暑すぎる日は、外遊びをやめてもいい

一度話しただけですべてを覚えるのは難しいため、外出前、公園へ行く前、運動を始める前などに、短く繰り返して確認しましょう。

保育施設・学校・スポーツ施設・イベント運営で確認したいこと

子どもの熱中症予防は、各家庭だけに任せるものではありません。

保育施設、学校、学童、スポーツクラブ、レジャー施設、地域イベントなど、子どもが活動する場所では、次のような準備が重要です。

  • 活動場所で暑さ指数を測定・確認する
  • 中止、延期、短縮の基準を事前に決める
  • 冷房の効いた休憩場所を確保する
  • 水分補給の時間を活動計画に組み込む
  • 子どもの体調を確認する担当者を決める
  • 熱中症の症状と応急処置をスタッフ間で共有する
  • 緊急連絡・119番通報の手順を確認する
  • 保護者に当日の暑さ対策を事前に伝える

熱中症特別警戒アラートが発表された場合や、適切な対策を確保できない場合は、行事や運動の中止・延期を検討する必要があります。

暑さに耐えることを求めるのではなく、安全に活動できる環境を大人が整えることが大切です。

ホッピースマイルの「熱中症予防の歌」

ホッピースマイルの動画
「熱中症予防の歌」では、暑い日に気をつけたいことを歌とアニメで親子一緒に学べます。

水分補給、帽子、休憩などの安全ルールを、子どもが楽しく繰り返し覚えられる内容です。

子どもの熱中症予防を、社会全体で支えるために

ホッピースマイルでは、子どもの事故予防につながる安全教育を、動画・歌・ポスター・メルマガを通じて親子に届けています。

企業・団体・自治体・教育機関の皆さまとも連携しながら、子どもの安全を家庭だけに任せず、社会全体で支える取り組みを広げていきたいと考えています。

熱中症予防は、自治体、保育施設、教育機関、スポーツ施設、商業施設、レジャー施設、交通機関、飲料・食品関連企業など、多くの企業・団体と関わりの深いテーマです。

施設内に掲示する安全啓発ポスター、親子イベントで使用する配布物、子ども向けの動画や歌などを通じて、暑い日に安全を思い出せる環境づくりを広げられればと考えています。

参考情報

  • 厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
  • こども家庭庁「みんなで見守り『こどもの熱中症』を防ぎましょう!」
  • 環境省「熱中症予防情報サイト・暑さ指数について」
  • 消防庁「令和7年5月~9月の熱中症による救急搬送状況」
  • 消費者庁「経口補水液について」
  • 日本スポーツ協会「熱中症予防のための運動指針」