暑い日の買い物や送迎、家族でのお出かけ。

子どもと車に乗る機会は、多くのご家庭にとって日常の一部です。

もちろん、短い時間であっても、子どもを車内にひとりで残さないことが最も大切です。

しかし、車内への閉じ込めは、意図的に子どもを残した時だけに起きるものではありません。

子どもが車の鍵を操作して内側から施錠してしまう、ドアが開けられなくなる、降車確認から漏れてしまうなど、思いがけない状況で起きることもあります。

消費者庁には、2歳の子どもが車内から鍵をかけ、約20分間閉じ込められた後、体温が39度台になっていた事例も寄せられています。

万が一に備えて、子ども自身ができることとして親子で確認しておきたいのが、クラクションを鳴らして周囲に助けを求める方法です。

車内への閉じ込めが危険な理由

閉め切った車内は、外気温がそれほど高く感じられない日でも、日差しによって温度が上昇することがあります。

消費者庁が紹介している実験では、最高気温が約27度だった10月でも、日が当たった車内が約48度まで上がりました。JAFの真夏の実験では、気温35度の条件でエアコンを停止してから15分後に、熱中症指数が危険な水準へ達しています。実際の上昇速度は天候や車両によって異なりますが、「少しの時間なら大丈夫」とは判断できません。

子どもは大人よりも体温調節機能が未発達で、体に熱がこもりやすい傾向があります。

特に小さな子どもは、

  • 暑さや具合の悪さをうまく言葉にできない
  • 自分でドアや窓を開けられない
  • チャイルドシートから抜け出せない
  • 携帯電話で助けを呼べない

といった状況も考えられます。

そのため、閉じ込めを起こさない予防と、万が一の時に助けを呼ぶ方法の両方を準備しておくことが大切です。

子どもはなぜクラクションを鳴らせないのか

大人にとっては、「困ったらクラクションを押せばよい」と思えるかもしれません。

しかし、子どもは普段から、

  • 車のボタンには触らない
  • クラクションを鳴らしてはいけない

と教えられていることがあります。

そのため、緊急時にも「押したら怒られるかもしれない」とためらう可能性があります。

また、閉じ込められて不安や恐怖を感じると、普段なら分かることを思い出せなくなることもあります。

小さな子どもは手の力が弱く、ハンドルの中央を片手で押しても、クラクションを鳴らせない場合もあります。

だからこそ、言葉だけで伝えるのではなく、保護者と一緒に実際の車で場所と押し方を確認することが重要です。

川崎市の保育施設向けガイドラインでも、周囲に誰もいなくなった場合を想定し、子どもがクラクションを鳴らす訓練を行うことが安全教育の例として示されています。

家庭でできる予防ポイント

1.短時間でも子どもを車内に残さない

  • 買い物の商品を一つ受け取るだけ
  • 眠っているから起こしたくない
  • エアコンをつけているから大丈夫

という場合でも、子どもだけを車内に残さないようにしましょう。

エンジンやエアコンが止まる、子どもが操作する、ドアが施錠されるなど、予想していなかったことが起きる可能性があります。

2.車の鍵は大人が管理する

子どもが車内で鍵を操作し、内側から施錠してしまう事故も起きています。

乗り降りや荷物の積み下ろしをする時も、鍵は子どもに持たせず、大人が管理することを習慣にしましょう。

3.車を降りる時は、すべての座席を見る

  • いつもは乗っていない
  • もう降りたと思っていた

といった思い込みを減らすために、車を離れる前に後部座席まで確認しましょう。

たとえば、車を降りるたびに、

「前よし、後ろよし、全員降りた」

と声に出す方法もあります。

毎回同じ手順で確認することで、忙しい時にも安全確認を思い出しやすくなります。

4.自宅の車でクラクションの場所を確認する

車を安全な場所へ停車させ、保護者がそばにいる状態で、

「車から出られなくなったら、ここを押して助けを呼ぶよ」

と伝えましょう。

ハンドルの形やクラクションの押しやすさは車によって異なるため、実際に使用している車で確認することが大切です。

練習する時は、

  • 車を完全に停車させる
  • パーキングブレーキをかける
  • 保護者が運転席のそばにいる
  • 周囲に配慮できる場所で行う
  • 車の取扱説明書も確認する

ようにしてください。

まずは両手でハンドルの中央を押し、それでも鳴らしにくい場合は、両手で体を支えながら、体重をかけて押す方法を確認します。

お尻を使う方法を教える場合も、勢いよく飛び乗ったり、ハンドルの上に立ったりする練習は避け、保護者の管理のもとで無理のない動きを確認してください。

5.一度で気づかれなければ、何度も鳴らす

緊急時は、一度だけクラクションを鳴らして終わりではなく、

大人が気づくまで、繰り返し鳴らしてよい

と伝えておきましょう。

同時に、

「遊びでは鳴らさない。本当に困った時は鳴らしていい」

と教えることで、子どもが緊急時にためらいにくくなります。

6.年齢や車種に応じて、ドアの開け方とほかのSOSも確認する

車種によっては、運転席のロックノブや解錠スイッチを操作したり、運転席の内側のドアハンドルを引いたりすることで、施錠されていてもドアを開けられる場合があります。

子どもが車の外に出た後も、安全に行動できる年齢であれば、実際に使っている車で、

  • どこを操作すると鍵が開くのか
  • 運転席のドアを内側からどう開けるのか
  • ドアが開かなかった時はどうするのか

を、保護者と一緒に確認しておきましょう。

ただし、車種によって操作方法は異なります。また、後席のドアはチャイルドプロテクターが設定されていると、解錠しても車内から開けられない場合があります。

必ず自宅の車の取扱説明書を確認し、車を完全に停車させた安全な状態で練習してください。

子どもには、年齢に合わせて、

  • 運転席まで行けたら、鍵を開けてドアから出る
  • ドアが開かなかったら、クラクションを何度も鳴らす

と伝えると分かりやすくなります。

車外へ出られた場合も、駐車場や道路には走行中の車がいる可能性があります。

車の前後へ飛び出したり、車の陰から急に走り出したりせず、まず立ち止まって周囲を確認し、近くの大人に「助けて」と伝えるよう教えておきましょう。

親子では、

「外に出たら、まず止まる。走らない。車の前や後ろには行かず、大人を呼ぶ」

と、短く確認しておくと分かりやすくなります。

そのほかにも、

  • 窓をたたく
  • 大きな声で「助けて」と叫ぶ
  • 操作できる場合はハザードランプをつける
  • 電話を使える場合は家族や119番へ連絡する

といった方法があります。

ただし、小さな子どもに一度に多くの行動を教えると、緊急時に迷ってしまう可能性があります。

まずは、

「出られなかったら、クラクション」

を最優先の約束として繰り返し確認しましょう。

7.実際に閉じ込めが起きたら、体調を最優先する

子どもが車内に閉じ込められた場合は、すぐに解錠と救出を試みてください。

車内が暑い、子どもがぐったりしている、呼びかけへの反応がおかしい、自分で水を飲めないなどの状態が見られる場合は、ロードサービスだけを待たず、すぐに119番へ連絡することが大切です。

救出後は涼しい場所へ移し、衣服をゆるめて体を冷やします。意識がない、反応がおかしい、自分で飲めない場合は、無理に水分を飲ませないでください。

親子で確認したい安全ルール

子どもには、短く覚えやすい言葉で伝えましょう。

  • 車の中には、ひとりで残らない
  • 車から出られなくなったら、クラクションを鳴らす
  • おうちの車の、音が鳴る場所を覚える
  • 一度で気づかれなければ、何度も鳴らす
  • クラクションは、遊びではなく、本当に困った時に使う

車に乗る前や長距離のお出かけ前に、

「車から出られなくなったら、どうする?」

と聞いてみてください。

子どもが、

「クラクションを鳴らす」

と答えられるよう、時々繰り返して確認することが、安全を思い出すきっかけになります。

ホッピースマイルの関連動画

ホッピースマイルの動画
「子どもを車内放置から守る歌」では、車内に残される危険や、困った時に助けを呼ぶ方法を、歌と動画で親子一緒に学べます。

文章だけでは覚えにくい安全ルールも、歌や映像を通して繰り返し触れることで、必要な時に思い出すきっかけになります。

ホッピースマイルでは、子どもの事故予防につながる安全教育を、動画・歌・ポスター・メルマガを通じて親子に届けています。

企業・団体・自治体・教育機関の皆さまとも連携しながら、子どもの安全を社会全体で支える取り組みを広げていきたいと考えています。

車内放置・閉じ込め事故の予防は、自動車関連企業、販売店、駐車場、商業施設、保育施設、送迎事業者、自治体などとも関わりの深いテーマです。

施設で掲示する安全啓発ポスター、親子向けイベントの配布物、動画や歌を活用した安全教育などを通じて、車に乗る前後に安全を思い出せる環境づくりにつなげられればと考えています。