歯ブラシをくわえたまま歩かないで|子どもの「喉突き事故」を防ぐ歯みがきの安全対策
忙しい朝や、眠くなってくる夜の歯みがき。
子どもが歯ブラシをくわえたまま、
「テレビ見てくる!」
とリビングへ歩いていったり、うがいをしようと洗面所へ移動したりすることはないでしょうか。
大人から見ると、ほんの数歩の移動です。
歯ブラシも、包丁やハサミのように鋭く見えるものではないため、危険を感じにくいかもしれません。
しかし、歯ブラシを口に入れたまま転ぶと、歯ブラシが口の奥や喉に刺さり、大きなけがにつながることがあります。
毎日の歯みがきだからこそ、親子で覚えておきたい安全ルールがあります。
歯ブラシをくわえたまま歩くとなぜ危険なの?
歯ブラシを口に入れた状態で転倒すると、床などにぶつかった力が歯ブラシを通して口の奥へ加わることがあります。
消費者庁には、歩きながら歯みがきをして転び、上あごに深い傷を負った事例や、歯ブラシが上あごに突き刺さり、全身麻酔や気管挿管のもとで処置が必要になった事例などが報告されています。
さらに、喉の近くには大切な血管や神経があり、深く傷つける可能性があります。また、傷から感染症につながることもあるため、見た目以上に注意が必要です。消費者庁には、喉を傷つけた後に集中治療室での管理や長期間の入院が必要になった事故も報告されています。
東京消防庁管内では、2020年から2024年までの5年間に、0〜5歳の子ども188人が歯みがき中の歯ブラシ事故で救急搬送されています。
そのうち、「歩いたり走ったりして転倒」したことによる事故が約7割を占めています。また、救急搬送時に入院が必要と判断された中等症以上も約2割ありました。
つまり、
「ほんの少し歩くだけだから大丈夫」
とは言い切れない事故です。
子どもはなぜ歯ブラシをくわえたまま動いてしまうの?
小さな子どもは、歯みがきの途中でも興味が別のものへ移りやすいものです。
テレビから好きな音が聞こえたら見に行きたくなったり、おもちゃが目に入れば取りに行きたくなったりします。
また、特に1〜3歳頃は歩くことそのものがまだ発達途中です。
何も持っていなくても、
- 足元の物につまずく
- 急に方向を変える
- きょうだいとぶつかる
- 走り出す
- 段差でバランスを崩す
といったことがあります。
歯ブラシをくわえている時だけ、自分で危険を予測して慎重に動くことを期待するのは難しい時期です。
実際、消費者庁も、歯ブラシをくわえたままの転倒だけでなく、ベッドの上で飛び跳ねたり、きょうだいとじゃれ合ったり、椅子から転落したりした際の事故を紹介しています。
だからこそ、
「歩かないでね」と伝えることと、動き回りにくい歯みがき環境をつくることの両方が大切です。
家庭でできる歯ブラシ事故の予防ポイント
歯みがきは「座ってする」を基本に
消費者庁や国民生活センターは、特に事故の多い1〜3歳頃の子どもが自分で歯みがきをする時は、保護者がそばで見守り、床に座らせて磨くよう呼びかけています。
ソファや椅子の上では、そこから転落する可能性があります。
できるだけ安定した場所で、
「ここに座ったら歯みがきを始める」
という場所を決めておくと分かりやすくなります。
移動する時は、必ず歯ブラシを口から出す
うがいのために洗面所へ行く時や、別の部屋へ移動する時は、
いったん歯ブラシを口から出してから歩く
ことを習慣にしましょう。
大切なのは、距離ではありません。
数歩の移動でも、
「歩く時は口から出す」
とルールを統一した方が、子どもにも伝わりやすくなります。
歯ブラシを持たせるのは、磨く準備ができてから
歯ブラシを持ったまま家の中を歩き回る時間そのものを減らす工夫もできます。
歯みがきをする場所に座り、準備ができてから歯ブラシを渡す。
磨き終わったら、歯ブラシを受け取ってから移動する。
この流れにすると、事故につながる場面を減らしやすくなります。
子ども用と仕上げ磨き用の歯ブラシを使い分ける
消費者庁は、子ども自身が使う歯ブラシには、喉突き防止対策が施された子ども用歯ブラシを選ぶことを勧めています。
一方、保護者が使う仕上げ磨き用の歯ブラシは、子ども自身には持たせず、手の届かない場所で管理することも大切です。
ただし、安全対策のある歯ブラシを使っていても、事故が完全になくなるわけではありません。
「座って磨く」「動く時は口から出す」ことと組み合わせることが大切です。
親子で確認したい安全ルール
子どもに伝える時は、長い説明よりも短い言葉にすると覚えやすくなります。
まずは、
「歯ブラシをくわえたまま歩かないよ」
そして、
「歯みがきは座ってしようね」
移動する時には、
「歩く時は、歯ブラシをお口から出そう」
と声をかけてみてください。
毎日の歯みがきで繰り返しているうちに、安全な行動そのものを習慣にしていくことができます。
歯ブラシだけでなく「棒状のものを口に入れたまま動かない」
今回の安全ルールは、歯ブラシだけに限りません。
箸、フォーク、串、棒付きの食べ物なども、口に入れたまま歩いたり走ったりすると、転倒や衝突の際に口や喉を傷つける危険があります。
国民生活センターも、歯ブラシだけでなく、箸やフォークなど喉突きの危険がある日用品を口に入れたまま歩いたり走ったりさせないよう注意を呼びかけています。
家庭のルールとして、
「長いもの・棒のようなものを口に入れたまま歩かない」
と一緒に覚えておくのもよいでしょう。
今日の歯みがきから「座って磨く」を習慣に
歯ブラシは、子どもの健康を守るために毎日使う大切なものです。
だからこそ、
「危険な物だから使わせない」
ではなく、
安全な使い方を親子で身につけていくこと
が大切です。
今日の歯みがきから、
- 「座っているかな?」
- 「歩く時は歯ブラシを口から出したかな?」
と、一度確認してみてください。
小さな習慣の積み重ねが、歯ブラシによる思わぬけがのリスクを減らすことにつながります。
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「串を咥えて転ぶと喉に刺さるよ!」
歯ブラシや、串などの棒状のものを口に入れたまま歩く危険について、親子で学べる動画です。
ホッピースマイルでは、子どもの事故予防につながる安全教育を、動画・歌・ポスター・メルマガなどを通じて親子に届けています。
歯科医院、小児科、保育園・幼稚園、子育て支援施設などで、歯みがき中の事故を親子が思い出すための啓発として活用することもできます。
歯科・オーラルケア関連企業や医療機関、自治体、教育機関などの皆さまと連携することで、歯の健康だけでなく、「歯ブラシを安全に使う」という視点も、より多くの家庭へ届けられると考えています。
企業・団体・自治体・教育機関の皆さまとも連携しながら、子どもの安全を社会全体で支える取り組みを広げていきたいと考えています。













